今回は「空き家の固定資産税と都市計画税」という
テーマについてお話しします。
実家を空き家のまま放置している人に尋ねると「実家を解体すると
土地の固定資産税が高くなってしまうから空き家のままにしている」
という人が多いと思います。しかし、空き家対策特別措置法が施行
された2015年以降は、空き家を放置していると土地の固定資産税が
高くなってしまう可能性が出てきました。
住宅の敷地の固定資産税と都市計画税
不動産を所有していると毎年必ず固定資産税がかかり、地域によっては
都市計画税もかかります。これらの税金は市町村が決める課税標準に
基づいて税額が決まり毎年1月1日時点の所有者に納税義務が課せられて
います。住宅の敷地の固定資産税・都市計画税は、実は「住宅用地の特例」
という制度のおかげで税額が安くなっています。
ではどのような特例で安くなっているのか説明をします。
住宅用地の特例と空き家
住宅用地の特例について説明をします。
例えば「小規模住宅用地」といって住宅等の敷地で200㎡以下の部分は
固定資産税が課税標準の6分の1に、そして都市計画税が3分の1になる、
といった特例です。
ただし「住宅用地の特例」が適用されるためには「住宅が建っていること」
が必要であって、空き家を解体してしまうとこの特例が適用されなくなり
税金が高くなってしまいます。
ところが2015年度の「税制改正の大綱」で「空き家対策特別措置法に基づく
必要な措置の『勧告』の対象となった『特定空き家等』に係る土地については
住宅用地の固定資産税及び都市計画税の特例措置の対象から除外する」ことが
決定しました。
つまり「特定空き家」に認定されると「住宅用地の特例」が
適用されなくなります。つまり適正な管理が行われていない危険な空き家の
場合はその土地の固定資産税・都市計画税が大幅に高くなる可能性がある
ということです。
いかがでしたか。空き家にして放置しておくと様々な問題が発生し、
かつ、税金も高くなることがおわかり頂けたと思います。
土地の固定資産税と都市計画税
では土地や家屋、そして償却資産に対して課税される
固定資産税の税率について説明します。
固定資産税の税率ですが更地、つまり空き地の場合の固定資産税は固定資産税
評価額に「負担調整措置」の10分の7をかけ、その1.4%となります。
一方、土地の上に住宅が建っていると200㎡以下の部分は6分の1に軽減され、
その1.4%となります。
200㎡超の部分は3分の1に軽減され、その1.4%となります。
先程説明した「負担調整措置」とは、固定資産税などが急激に上昇して税負担が
重くなり過ぎないように、緩やかな上昇へ税負担を調整する仕組みのことをいいます。
では次に都市計画税の税率について説明します。
土地の都市計画税について説明します。
都市計画税の税率ですが更地の場合の都市計画税は、固定資産税評価額に
負担調整措置の10分の7をかけ、その0.3%となります。
一方土地の上に住宅が建っていると200㎡以下の部分は3分の1に軽減
され、その0.3%となります。200㎡超の部分は3分の2に軽減され、
その0.3%となります。
次に具体的に税額がいくらになるか事例をあげて計算してみます。
まず計算の元ですが土地面積は150㎡で課税標準は1,500万円とし、
建物の課税標準は400万円とします。都市計画税は省略します。
管理された空き家の場合
管理された空き家の場合、
土地の固定資産税は1,500万円×1/6×1.4%で3万5,000円
建物の固定資産税は、400万円×1.4%で5万6,000円です。
更地、および特定空き家の場合
空き家を解体し更地にした場合および「特定空き家」の場合、土地の
固定資産税は1,500万円×7/10×1.4%で14万7千円です。
土地の固定資産税だけを比べると4.2倍に増えています。
次に求めた税額を実際の状況に合わせて整理してみます。
A・「管理された空き家の場合」は土地と建物で合計9万1,000円。
B・「更地つまり空き地の場合」は合計14万7,000円。
C・「特定空き家の場合」は合計20万3,000円となります。
これは固定資産税だけですが、都市計画税を含めるとさらに金額が大きくなり、
特定空き家の税額の高さがイメージできると思います。
固定資産税・都市計画税は不動産を所有し続ける限り納める必要があります。
仮に、更地にして所有し続けたり売りに出しても、売買契約が成立するまでは
ずっと納めなくてはなりません。また特定空き家に認定されず空き家を適正に
管理している限り税額は上がりません。