空き家サポート研究会

日本の空き家の現状・その①

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日本の空き家の現状

第一話は「日本の空き家の現状・その①」というテーマでお話します。

住宅市場が大きく変わる

2017年10月の衆議院選挙での与党の圧勝を受けて、株式相場が上昇しました。
これは、自民党の安定政権が続くとの見方から、海外投資家が日本株への買いを
増やしたことによるものです。そして、上場企業の業績が拡大し、2018年3月期は
4社に1社は純利益が過去最高になりました。さらに2008年のリーマンショック前
の水準を回復する企業が相次ぎました。景気が良いと住宅の着工戸数も増えることが
予測されます。しかし現実は厳しいようです。

住宅の着工戸数の推移

新設住宅着工戸数の実績の推移と予測結果

国土交通省の発表によると、2016年の新設住宅着工戸数は、前年比5.8%増の
97万4137戸で、2年連続でわずかながら増加となりました。リーマンショック
で大幅な落ち込みをみせた2009年以降では、消費税が8%になる前年の駆け込み
需要があった2013年の98万7254戸に迫る戸数となりました。

しかし、その内訳を見ると、増加のけん引力となったのは人が住む戸建住宅ではなく
「貸家」です。つまり2015年の改正相続税法施行の節税対策とみられる貸家の
着工戸数が10.5%も増えたことです。持ち家も3.1%増の29万2287戸と
3年ぶりに増加しました。

しかし、住宅の着工戸数が全盛期の1973年、今から45年前と比べると、
新設着工戸数で当時の190万戸から97万戸と約2分の1に減少しています。
持ち家も76万戸から29万戸と62%の大幅ダウンです。
さらに、野村総合研究所は12年後の2030年には新設住宅着工戸数が
54万戸、その内持ち家が14万戸と大幅ダウンを予想しています。
持ち家が14万戸ということは、全盛期の81%ダウンです。

近い将来にこれだけダウンすると住宅会社や工務店は淘汰されることは確実となります。

住宅ストックと世帯数の関係

飽和状態の住宅

住宅は現在飽和状態になっています。
総務省の2013年住宅・土地統計調査結果によると、2013年10月1日に
おける日本国内の総住宅数は、6063万戸で、世帯数は5245万戸です。

ということは818万戸も家が余っていて、空き家がかなりのピッチで増えている
ことになります。空き家はここ20年で1.8倍に増加しています。空き家率は
1978年の7.6%から、2013年の時点では13.5%と急増しています。

つまり、7軒から8軒に1軒は誰も住んでいないということになります。

空き家率は2033年には30.4%、そして、今から19年後の2037年には
40%近くに増えると予測されています。空き家が想像以上の勢いで増えている原因は
わが国の少子化と高齢化に伴なう人口の減少、さらには世帯数の減少があげられます。

この状況から、今後の国の施策は空き家に対し除却を含めた流通の活性化に拍車がかかると
予測されます。その一方で、空き家問題は住宅業界にとって、リフォームや建替え、買取り
再販それに土地や建物の有効活用などの新しいビジネスにつながると期待されています。

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