空き家サポート研究会

空き家を解体する費用の相場は?

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空き家の活用

今回は「空き家を解体する費用の相場は?」というテーマでお話しします。

構造により大きな差が出る解体費用

空き家を解体する費用は、地域や建物の立地、構造、規模、付帯設備など、
さまざまな要素によって大きく異なり一概にいくらと言えるものではありません。
特に構造が「木造」か、「鉄骨造」か、「鉄筋コンクリート造」かにより解体費用
には大きな差が出ます。1坪当たりの概算費用を比較してみると木造で4万円、
鉄骨造で6万円、鉄筋コンクリート造で7万円程度が相場です。
また浄化槽が埋設されている場合は1個当たり50万から80万円程度、余分に
費用がかかります。これらの金額はあくまでも目安であり実際には信頼できる
解体業者に見積を依頼しなければ正確な費用はわかりません。

解体工事の手順と解体費用の事例

さまざまな作業が伴う解体工事の手順と解体費用の事例について説明します。

建物の解体工事の手順

解体工事の手順は①足場養生の設置 ②手作業での工作物撤去
③重機での解体作業 ④廃棄物の分別・搬出処理⑤地中障害物の確認
⑥敷地の整地・清掃です。また敷地いっぱいに建物が建っている場合は
工事車両が道路を塞ぐため交通整理も必要です。このように建物を解体
する作業だけではなく、それに伴う作業が多岐にわたって発生します。

次に、解体費用の事例を説明します。

木造の空き家の解体費用(概算)

木造2階建延30坪の空き家を解体する事例です。
解体費用を4項目に分類しました。
その内訳は①建物取壊費用90万円 ②廃棄物処理費用20万円
③付帯工事費用28万円 ④その他諸費用8万円の、合計146万円です。
146万円を30坪で割ると解体工事の坪単価は4万9千円になります。

では次に、解体費用の4つの項目をもう少し詳しく、併せて、建物の
解体費用が相場より高くなるケースを説明します。

解体費用の4項目

解体費用の4項目の内容を説明します。
「建物取壊費用」とは、建物本体を取り壊すための費用です。建物の構造や
大きさにより幅が出ます。「廃棄物処理費用」とは、解体で発生した廃棄物を
分別し処理する費用です。「付帯工事費用」とは浄化槽などの付帯設備、庭木
など建物本体以外のものを撤去する費用や建物を囲うシートなど近隣への影響
を抑えるための費用です。「その他諸費用」とは、役所への届出の費用や運搬
費用など上記以外に発生する費用です。

次に建物の解体費用が相場より高くなる場合はどんな場合かを見ていきます。

解体費用が相場より高くなる場合

①住宅密集地で敷地いっぱいに家が建っている
②道路が狭い、道路と敷地との高低差が大きい
③地下室、浄化槽など大きな地中埋設物がある
④ベタ基礎、深基礎、擁壁などがある
⑤庭石、樹木、塀、土間コンなどが多い
⑥自然災害や火災などで建物が破損した
⑦石綿(アスベスト)が使用されている
⑧空き家の中に家財道具が残っている、などです。

建設リサイクル法とは

では次に2002年に施行された「建設リサイクル法」について説明します。
「建設リサイクル法」の影響で解体費用は高額化しました。

建設リサイクル法とは

建築リサイクル法の正式名称は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する
法律」といい、生活環境を保全することが目的です。
この法律は新築工事でも適用されますが、解体工事に限って説明すると
床面積80㎡以上の解体工事を行なう場合、現場で発生したコンクリートや
木材を分別解体してリサイクルすることが義務付けられました。その結果、
法律の施行前に比べて解体と分別に多くの手作業が必要となり、現在の
解体費用の高騰へとつながっています。

解体費用を抑えるポイント

では次に解体費用を抑えるポイントについて説明します。

①家財道具は自分で解体前に処分する。
ちなみに家電リサイクル法に指定された4品目、テレビ・エアコン・
冷凍冷蔵庫・洗濯機は、処分するのにリサイクル料金がかかります。

②解体業者の閑散期に工事を行なう。
解体業者は一般に12月から3月までが忙しく4月以降が閑散期です。

③現場から近い距離の解体業者を選ぶ。
これは、トラックや重機の使用時間を考慮したものです。

そして忘れてはならないのが、空き家を解体すると自治体によっては
補助金が出る場合があることです。必ず事前に確認しましょう。

また、工事完了後には建物の滅失登記を法務局に申請することが
必要
です。登記費用は建物の規模によりますが、土地家屋調査士に
依頼すると4万円から5万円が相場です。滅失登記を行わないと
建物が無くても固定資産税などの納税義務が続いてしまうので、
できるだけ早く登記申請を行いましょう。