空き家サポート研究会

空き家バンクの仕組みとは

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空き家の活用

今回は「空き家バンクの仕組みとは」についてお話します。

近年、地方に移住したいという人が増えていますが、地方には多くの
空き家があり、処分に困っている現状があります。この2つの問題を
同時に解決するために考え出されたのが「空き家バンク」です。
ではその「空き家バンク」について説明します。

「空き家バンク」とは

自治体ごとに運営する空き家バンクの仕組み

各市町村が、売却や賃貸を希望する空き家の所有者を募集し、その所有者
から提供された
不動産情報を登録し、その情報をインターネットや市町村
の窓口を通じて購入、または、
賃貸入居の希望者に情報提供する制度です。

利用申込みの際には市町村が介在したり宅建業者が連携して実務を行う
ことにより、不動産の取扱いに不慣れな空き家所有者や利用者に対して、
安心感を与えることができます。そして、住宅に関する施策と連携させて
地方への移住や定住を促す
ツールとしても活用されています。

各市町村はそれぞれ独自に空き家バンク制度を整備しています。従って、
市町村から空き家の紹介を受ける場合や、市町村に空き家情報を提供する
際には、各制度に準じた申込み手続きが必要となる場合があります。
ただし、全ての市町村にこの制度があるわけではないので注意が必要です。

「全国版空き家・空き地バンク」とは

2018年4月からは国土交通省の「全国版空き家・空き地バンク」の本格運用が
始まりました。この「全国空き家・空き地バンク」について説明をします。

「空き家バンク」と「全国版空き家・空き地バンク」の違い

従来の「空き家バンク」は各地方公共団体が個別に運営してきましたが、
一覧性がなく、検索や比較検討がしづらいとか掲載物件が少ないなどの
問題がありました。それを全国規模で集約したのが全国版空き家バンクです。

物件の設備や概要などの情報を統一し、利用者が希望の条件を基に地域を
問わず、ワンストップで検索できるようにしました。空き家の活用を進めて、
地方への移住を後押しし、地域活性化につなげるのが狙いです。
新たな「全国版空き家・空き地バンク」は空き家などの物件情報や地域の
魅力紹介だけではなく、ハザード情報や生活支援情報を地図上に重ねて
表示できるよう改良されました。

地方に移住して農業をやりたい人向けには「農地付き空き家」
地方で店を開きたい人向けには「店舗付き空き家」も検索できます。

地方に移住して開いた古民家カフェのイメージ

「全国版空き家・空き地バンク」は不動産情報サイトを運営する会社が
担当しています。空き家バンクに取り組む約700の自治体のうち半数以上の
492自治体が参加し今後さらに参加する自治体が増えると見られます。

空き家バンクのメリットとデメリット

では空き家バンクのメリットとデメリットを説明します。

空き家バンクのメリットとは

①田舎暮らしの希望者は移住先の探索ができる
②安い金額で家が買えたり借りられたりできる
③農地付き・店舗付きなどの好条件の物件もある
④地域の防災や防犯に役立ち活性化につながる
などが挙げられます。

空き家バンクのデメリットとは

①物件の詳細情報が不明のため現地見学が必須である
②改修しないと利用できないような物件もある
③行政は仲介してくれないので直接交渉が必要
④わけあり物件が多く家主とのトラブルが多い
などです。

空き家バンク制度の問題点

次に、空き家バンク制度の問題点を挙げておきます。

①自治体ごとにサイトの仕様が異なります。
そのため情報を探しづらく、中には閲覧するのに登録が
必要など不便な自治体もあります。

②空き家の物件情報の登録数が少ない。
これは自治体が物件情報に対して受け身になっているためです。

③専任の職員数が少なく予算も不足気味です。
空き家バンクの専任は役所の慣例により3年程度で異動するため
ノウハウの蓄積が難しいようです。

④物件が安価なので不動産会社が後ろ向きです。
地方の空き家は低価格で仲介手数料も安いため、仲介する不動産会社は
積極的には動きづらいようです。

⑤市場価値より高い価格設定の物件も多いようです。
売主が購入価格や建設費用にとらわれているため、空き家ならではの
値付けになっていない高額物件もあります。

空き家対策はまだまだ改善の余地はありますが、全国の空き家情報が一元的に
検索できるようになったことで、地方の物件が見つけやすくなりました。
空き家バンクの活性化により空き家が有効活用されることを期待したいものです。

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