今回は「空き家バンクで山村を活性化」というテーマでお話しします。
最近は都市から地方の農村や山村に移住したいという若い世代の人々が
多いようですが、今回は愛知県豊田市のケースを紹介します。
豊田市での空き家バンクの活用ケース
豊田市の「空き家情報バンク」を利用して移住した人は2017年度、
過去最高の34世帯82人になりました。
都市部に比較的近い「ほどよい田舎」が人気の理由だそうです。では
具体的に豊田市の「空き家情報バンク」の実態をお伝えしたいと思います。
愛知県豊田市の山村地域
豊田市は愛知県北部に位置する人口42万人の中核市で、トヨタ自動車が
本社を置きその取引先が集まって発展した町です。愛知県下で人口は名古屋市に
次いで第2位、面積は県内で最大です。2005年に周辺の旧6町村を吸収合併した
後も、自動車産業に支えられ人口は増え続けています。
しかし、旭、足助、小原、下山、稲武の山村地域の5地区は過疎化が進み、
2005年の人口約2万6千人から5千人も減少し、空き家が増えていきました。
そこで豊田市は定住者を増やそうと、2010年に「空き家情報バンク」を
立ち上げました。
空き家情報バンクを利用して移住してきた家族のケース
ではここで「空き家情報バンク」を利用して横浜から旭地区に移住した
Aさんの話をしたいと思います。
Aさんは妻子とともに築80年以上の木造平屋建ての住まいを借りて
暮らしています。「自然環境がいいのか、子どもの体調が良くなりました」
というAさん。以前から奥さんの希望で、有機農業をしながら田舎暮らし
ができる場所を探していたそうです。
山村へ移住する魅力は
①自然が豊か②空気がおいしい③健康に暮らせる④人がやさしい
⑤のんびりと暮らせる⑥子供の教育に良い⑦家の賃貸が安く購入もラク
⑧物価が安いなどが挙げられます。
そして豊田市の場所を決めたのは、農産品を売る大消費地の名古屋にも
近いうえ、将来、親の介護の際は首都圏とも行き来しやすいことでした。
「買い物はネットで間に合うし、地元の人たちが助言もくれる。
住みやすいです」と評価しています。
豊田市の空き家情報バンク
では次に豊田市の「空き家情報バンク」について説明をします。
豊田市の「空き家情報バンク」の制度は、豊田市の山あいの5地区を中心と
する特定地域の空き家について「賃貸または売却を希望する空き家の所有者」と、
「田舎暮らしを目指す移住希望者」が出会えるよう、豊田市が空き家の情報提供
と入居者の募集をする仕組みです。空き家を地域資源として有効活用し、過疎
地域における定住人口を増やすとともに、地域活性化を図ることを目指しています。
この空き家情報バンクは、トラブル防止のため希望者は事前に地元住民と面談を
するのが条件ですが、移住後は様々な点で支援してもらえるのが魅力です。
豊田市が実施している空き家に関する施策
では、豊田市が実施している空き家対策に関する施策を具体的に
説明します。豊田市は空き家再生事業の補助制度も充実させています。
ではその補助金について説明します。
空き家再生事業による補助金
豊田市は空き家情報バンク制度により、豊田市が指定する山村地域で賃貸借
契約が成立した空き家に対し、改修に必要な経費の一部を補助しています。
補助金の額は、改修費の10分の8で、上限は100万円です。
空き家情報バンクの登録物件の充実
そして豊田市は、空き家所有者に対して空き家を提供するようPRし、物件を
充実させてきました。こちらはその一部を抜粋したものですが、2018年3月末
現在の登録物件数は22件、移住希望の登録者は262世帯となっています。
前述のAさんに住まいを貸した名古屋市の60代の男性は、「空き家は壊すにしても
カネがかかり、草刈りなど管理が大変だった。住む人が現れることは所有者だけでなく
地元住民にとってもいいこと」と話しています。
こちらは2016年2月末時点の「入居者年齢別成約数」ですが、30代の若い世代
の入居者が多いことがわかります。空き家情報バンクを利用して移住する人は当初、
年に10世帯前後でしたが、徐々に増え、累計で124世帯300人になりました。
これまでの移住者は県外から1割、県内から9割と、「県内組」が多いのも特徴です。