今回は「共働きローンにおける共有名義の留意点」について説明します。
夫婦共働きで住宅ローンを借りてマイホームを購入するときには、夫婦ともに
ローン控除が利用できます。これはとてもおトクな制度です。その際には建物
登記を共有名義にする必要があります。
もし夫婦でローンを返済する場合、ご主人ひとりだけの名義にすると、贈与が
あったとみなされ、贈与税の対象になります。そしてローン控除もひとりしか
利用できません。必ず、頭金やローン支払額の比率に応じて夫婦で持ち分を
決めて共有名義にしましょう。では夫婦が共有名義で住宅を取得する場合の
留意点を説明します。
夫婦が共有名義で住宅を取得する場合の留意点
「共有登記」とは、住宅購入の際にそれぞれが拠出した資金割合に応じて
所有権の持ち分を登記することです。
例えば3600万円の住宅を購入する場合を想定してみます。
資金調達は、ご主人が頭金400万円をご主人名義の貯蓄より捻出し、住宅ローンを
2000万円借り入れたとします。奥さんは頭金を奥さん名義の貯蓄から200万円を
捻出し、住宅ローンの支払いの1000万円を負担するなら、持ち分はご主人が3分の2、
奥さんが3分の1となります。
共有名義にする場合には土地・建物それぞれを共有にしなければなりません。
なぜかというと、ローン控除の適用を受けるには建物を所有していることが条件に
なるからです。先程説明した持ち分割合のように、土地と建物ともにご主人が3分の2、
奥さん3分の1の割合で共有名義にするのが一番無難です。
では、次に共有名義に関する留意点を説明します。
共有名義にする場合には、将来のことを考えれば長生きしそうな人のほうの割合を
高くしておくことも検討するべきです。さらに、親子の共有名義なら子どもの土地
所有割合を大きくしておくことです。
その理由は、土地と建物を20年、30年などの長期の所有を前提にすれば、建物
の価値は減価償却をして大きく低下しますが、土地の価値はある程度維持できます。
次に留意しておくのは、予め相続税対策を検討しておくことです。
つまり将来相続が発生したときに、価値の低い建物の比重が高く、土地の比重が
低いほど相続税評価額が低くなります。よって相続税がゼロになったり、相続税が
かかっても税額が少なくなるメリットがあります。
共有名義に関しては安易に事を運ぶのではなく
しっかり将来のことまで考えるべきだと思います。
贈与税の配偶者特別控除
さらにいえば、婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、
贈与税の配偶者特別控除が適用されます。
どういうことかといえば、居住用不動産取得のための資金に限り、贈与税の
基礎控除110万円にプラス最高2000万円まで贈与税がゼロで贈与できる
ということです。一組の夫婦に1回しか適用されない制度ですが、将来的には
この制度を利用して、奥さん名義の不動産の取得割合を高くしておくことが、
相続税対策にもなります。
共有名義にする注意点
では次に共有名義にする注意点を指摘しておきたいと思います。
共有名義にする注意点は登記などの手続きが2人分になることで、若干費用が
かかり、手続きに手間取ります。
奥さんとご主人の持ち分は夫婦間の頭金とローンの借入額による支払い負担額によって
決まります。しかし、奥さんの収入は出産や働き方の変化によって変動する可能性が
ご主人に比べて高いため、無理のない借入額にとどめておくことが大切です。
共有名義の最大のデメリットは、余りいい話ではありませんが離婚することになった
ときのことです。どちらかが住まなくなっても、ローンの返済を続けざるを得なかったり、
これまで2人で負担していた返済額をひとりで負担する可能性があるからです。