今回は「空き家をシェアハウスに活用するには」というテーマでお話します。
シェアハウスとは
シェアハウスとは一つの住宅を複数の人で共用して暮らす賃貸住宅のことです。
一般的にはキッチンやリビング、浴室などを共用し、プライバシー空間として
鍵のかかる個室を利用します。一戸建てだけでなく、複数の居室を備える
賃貸マンションなども対象となります。
シェアハウスの特徴
シェアハウスの特徴は、通常の賃貸住宅に比べて、①家賃が安くすむ、
②敷金・礼金、仲介手数料が不要なケースが多い、③最近ではコスト
メリット以外に、入居者同士のつながりの場としても人気を集めています。
東京都豊島区での取り組み
東京都豊島区は、深刻化する空き家問題の対策として2017年度に、若者の
シェアハウスや、高齢者のグループホームとして活用する条例案を策定し
ましたが、建築基準法にない新しい運用に国土交通省が難色を示しました。
しかし、その後の調整の結果、豊島区は、空き家をシェアハウスとして
活用しやすくする事業を2018年4月からスタートしました。豊島区が
事業化した空き家をシェアハウスとする活用策は面白そうですね。
しかし、当初の活用案は法的な課題を抱えていました。
ではどのようにしてそれをクリアしたのか見ていきたいと思います。
複数の人が個別に所有者と契約し共同生活するシェアハウスは、建築基準法
では「寄宿舎」の用途になります。「寄宿舎」は防災対策のため、非常用
照明や火災報知機の設置などが必要で、その改修費用が高額のため
シェアハウスをあきらめる空き家所有者が数多いのが現状です。
そこで豊島区は打開策を練りました。
2017年11月に可決した豊島区の条例では次の条件が盛り込まれています。
以上の条件をクリアすることにより、用途変更をせずシェアハウスと
して使用できることになりました。
豊島区のような自治体の試みは全国でも珍しく、この方式は東京都の
他のエリアにも広がりそうです。
最近は、海外から日本へ仕事や留学などで、生活拠点を移す外国人が
増えていますが、シェアハウスはその対策としても非常に有効です。
シェアハウスに関して豊島区が想定する入居者のイメージとしては
シングルマザーの女性同士が共同生活して子育てを助け合ったり、
単身高齢者が学生と同居したりするケースが想定されています。
これらのことは、空き家を活用して、生活の苦しい人や学生などが
安く居住できる環境をつくるという目的によるものです。
「ルームシェア」と「シェアハウス」の違いは?
シェアハウスとよく似たものに「ルームシェア」があります。
では「ルームシェア」と「シェアハウス」の違いを説明します。
「ルームシェア」とは元から知りあいの人たちが一つの住宅を分け合って
同居するタイプです。原則として代表者は一人で、その他の居住者は
連名という形で賃貸契約を結びます。
一方、シェアハウスは、他人同士が一つの住宅内の居室を個別に借り受ける
タイプで、一人一人のプライベートスペースがあり、借主個人がそれぞれに
家主と賃貸契約を結ぶものです。
シェアハウスの条件
シェアハウスの条件をまとめると、次のようになります。
①キッチン・ダイニング・リビング・浴室・トイレなどは共同利用できる。
②借主同士がコミュニケーションをとれるスペース、
例えばリビングやダイニングなどが設けられている。
③最低でも施錠できる居室が契約人数分存在する。
④他の居住者の居室を通らず自らの居室に行ける。
⑤賃貸契約は居室の借主個人がそれぞれ行なう。
以上がシェアハウスの条件です。
都心部や地方都市の駅周辺などは、賃貸物件の需要が多い分、家賃相場も
高いため、住むのをあきらめる人も多いようです。しかしシェアハウスなら
住みたい街の住みたい場所に住むことができます。そして、女性や学生などは
複数の人数で住むことで、防犯の面でも安心できます。最近では、テーマ性を
持たせたコンセプト・シェアハウスも広がりを見せています。
シェアハウスの管理業務はオーナーが自ら行なうこともできますが、賃貸経営に
慣れていない場合や、空き家と自宅が遠い場合は、十分な管理ができません。
そこで不動産会社をパートナーにして運営する方法がおすすめです。