今回は「教育資金を補うための保険とローンなどの手段」というテーマでお話します。
教育資金づくりは「できるだけ早く取りかかること」、そして
「無理せずコツコツ計画的に実行すること」が大切です。
将来に備える「こども保険」
では「こども保険」について説明します。
こども保険は、貯蓄機能と保険ならではの「備える」という2つの
機能がセットになっています。
親を契約者、子どもを被保険者として、親が亡くなったり、高度障害状態に
なった場合、以後の保険料を払わなくても契約時に設定した祝金や満期保険金
が受け取れる商品です。子どもの大学進学時にあわせて始めれば、満期保険金
で入学金を賄うことができます。また、高校の進学時などに数十万円の
「祝金」を受け取ることもでき、家計のやりくりが楽になります。
保険料は毎月自動的に引き落とされ、年払いや一括払いなども選択可能です。
ただ、契約当初に長期の保険期間を設定すると預貯金よりも高い運用利率が
期待できますが、中途で解約すると元本割れとなる可能性があります。
こども保険は、保障を重視するか、貯蓄を重視するかの2つのタイプに
分けれらます。保障を重視するタイプは、子どもの病気、けがに備えて、
入院費や死亡保険金などを充実させたタイプです。貯蓄を重視するタイプは、
少ない保険料で子どもにより多くの教育資金を準備できるようになっています。
ではこの2つの商品を具体的に比較してみます。
A社とK社のこども保険で比較してみます。
A社の保険は高校入学時には学資一時金、そして、大学入学時から4年間にわたって、
学資年金を受け取ることができます。また、子どもの出生140日前から申し込めたり、
「10歳払い済み」タイプがあるなど、教育費負担が重くなる前に、お金を準備できる
タイプもあります。
K社の保険は保険契約者や被保険者に万一のことがあったときの保障を重視しています。
ただ、保障が手厚い分、資金を貯蓄するという点では欠けていて返戻率が100%を
割り込んでいます。教育資金を貯めることを重視する場合には、K社の保険は向いて
いないといえます。
この2社の商品は、数あるこども保険の商品のほんの一例を挙げたに過ぎません。
保険会社や商品により、内容が大きく異なりますので、複数の商品を比較検討
することが大切です。
いかがでしょうか。同じ種類のこども保険でも商品内容が異なることがご理解
いただけたと思います。こども保険を検討する上で注意しておきたいことは、
今後の金利の動向です。
こども保険は、契約時の利率が満期までずっと続きますので、契約後に
市場金利が上がった場合、比較的乗り換えが自由な預貯金と比べて、
不利な運用を強いられるケースも考えられます。こども保険の貯蓄機能を
重視するのであれば、この点も考慮しておきましょう。
国と民間の「教育ローン」
次に「教育ローン」について説明します。数百万円単位での借り入れが
可能な「教育ローン」は国や金融機関が取り扱っています。
こちらの図は主な教育ローンの概要を示したものです。
中でも注目されているのが日本政策金融公庫が取り扱う「国の教育ローン」です。
日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は高校や大学などの入学金、
授業料のほか、アパート・マンションの下宿代などにも対応してくれます。
郵送やインターネットで申し込めるほか、近くの民間金融機関でも利用できます。
融資金額は、子ども一人につき、300万円までですが在学期間中は利息のみの
返済、つまり元金据置が可能です。試験の合否に関わらず、いつでも申し込みが
できますが、親の所得によっては利用できない場合もありますので、事前に
確認しておくことが必要です。
一方、民間金融機関の教育ローンは、親の所得による制限も通常はありません。
融資金額は、無担保型で500万円まで借りられるところが多く、医学部や
大学院などの学生向けに1000万円以上の大型ローンも取り扱っています。
変動金利が主流ですから借入後の金利の動向に注意する必要があります。
では、教育費を補う主な手段とそのポイントをまとめておきます。
・奨学金は利子の付く貸与型と返済の必要がない給付型があります。
・教育ローンは金利が奨学金より高めで、教育資金贈与は祖父母に
財産がある場合、相続税を軽減するメリットがあります。