今回は木造軸組ならではの「のびやかな吹抜け」についてお話します。
吹抜けに架かる梁の美しさ
太い梁が織りなす吹抜けの構造美は見る人に感動を与えます。
写真は、江戸時代に建てられた町家、飛騨高山の松本家です。
力強い梁で構成された、高さのある吹抜けは、当時の町家によく見られました。
吹抜けの魅力を現代の住まいにも
吹抜けの魅力を現代に活かした住まいにご案内します。
木の香りがただよってきそうなリビングルームですね。見上げると、
井桁の梁の吹抜けにキャットウォーク。2階の窓から舞いおりる
光の束が、木漏れ日のようにリビング空間を明るく照らします。
リビングの階段を上がると風景が一転。
階段と吹抜けの間に桧のブリッジがかかり、森の小道を
歩いているような不思議な空間です。吹抜けを2階から
見おろすと、太い梁越しにリビングが望めます。
吹抜けは、どこにいても家族の気配を感じられる
コミュニケーション・ツールでもあります。
こちらは別のお宅ですが、リビングの桧の床にゴロンと寝ころんで大の字に
なると、頭上にはこんな風景が広がります。
2階からママを呼ぶ、子どもたちの元気な声が聞こえてきそう。
2階の柱、梁、窓、漆喰の壁、そして、はるかに高い勾配天井まで見通せます。
リビングから視界が空まで広がったみたいでいい気持ちです。
空気と光の通り道
吹き抜けのメリットはまだまだあります。
キャットウォークを設けると、猫の散歩道になります。
もちろん、家族も通れます。2階の屋根にトップライトを設けると、陽ざしは
吹抜けやキャットウォーク越しに1階まで届いて、家中がさらに明るくなります。
夏は1階と2階の窓をあけると、空気が吹抜けを通して家中を循環するので、
涼しくて、さわやかです。冬は1階で暖房した熱気が吹抜けを通して家中を
暖めてくれます。
構造美を魅せる吹き抜けの材料は?
そして吹抜けは、井桁に組まれた角材の梁が美しい構造美を魅せてくれます。
梁に使われる材料は、よく乾燥した杉材やベイマツなど。
どこにでも手にはいる規格品ですから、若い人にも手の届く予算で吹抜けの
ある家を建てることができます。たとえ敷地が狭くても、吹抜けによって
太陽光が2階からたっぷり入るので、開放感のある明るいリビングを
デザインできます。