今回は優れた強度をもつ「松」についてお話します。
種類豊富な松、その特性
国産材の針葉樹「松」には、多くの種類があります。アカマツ、
クロマツ、カラマツ、トドマツ、エゾマツなどがよく知られています。
北海道で見られるのは、トドマツやエゾマツです。
本州から九州の海岸に立ち並ぶのはクロマツで、塩害に強く、砂地でも根を
張るため古くから防潮林として海岸に植えられました。アカマツは本州から
九州まで広い範囲で見られ、内陸で育ちマツタケを生産する松です。
松は、梁や桁などの構造材、床材、造作材、天井材、建具、家具などに
使われます。松の種類により、硬さ、強度、耐久性、加工性なども異なる
ため、特性に合わせて用います。
松ヤニが染み出すことがありますが、それは耐水性や抗菌性の高いあかしです。
松の木材としての呼称である「パイン材」は「欧州赤松」を指すことが多く、
これに対して北米産のものは「ベイマツ」、国産の材は「地松(ぢまつ)」
というように呼び分けられます。
松を使った建築実例
今回は、北米産の「ベイマツ」と、国産材の「カラマツ」の建築事例を紹介します。
この写真は土間の吹抜けを2階から見たところですが、この家の梁に使われている
材料は、よく乾燥させたベイマツです。
ベイマツ
ベイマツは、北米西海岸を中心に広い範囲に分布し、北米で最も多く見られる
針葉樹です。材質は強く、曲げ強度に優れ、木造建築の構造材、特に、梁や
桁などの「横架材(おうかざい)」として適しています。心材は黄色を帯びた
赤褐色で辺材は淡黄色。木目が鮮明できれいです。強靱で、反りやねじれが
生じにくく、安定性や加工性の良い材料です。十分に乾燥させたベイマツは
強い建物をつくる貴重な建築材料です。
この家は床材にカラマツを活かしました。
カラマツ
桧に比べて赤みが強く、木目がはっきりして堅い材質感です。床板に用いた
カラマツは、本州中部で海抜1000mから2000mの地域に見られます。
北海道、東北、本州中部の寒冷地帯で多く造林されています。カラマツ
以外の松は常緑の針葉樹ですが、カラマツは、唯一の落葉樹でカラマツ林
は秋の紅葉の美しいことで人気があります。カラマツは日当たりの良い
山地に育ち、土壌の悪いところでも育つ樹木です。材は赤みを帯びて、
心材は褐色、辺材は白色。年輪がくっきり浮かび上がっています。針葉樹の
中では堅く、強度の高い材で、湿気にも強く、床材としても人気があります。