塗り壁の代表格である漆喰についてお話します。
「漆喰」の特徴とは?
質感豊かな塗り壁「漆喰」
左官職人の腕ひとつで味のある質感に
漆喰壁というと古いイメージを持つ人がいますが、左官職人の腕ひとつで
ざっくりと味のある質感を表現することができる塗り壁です。
漆喰壁は「コストが高い」という先入観をもつ人もいますが、磨きや
押さえをかけず、ザックリと荒く仕上げれば省コストにできます。
漆喰の性質は?
漆喰は石灰岩を焼いてできた生石灰をセメントと水で反応させた消石灰に
糊とスサを混ぜて水で練った自然素材です。漆喰は防火性や耐久性に優れ
調湿性が高いので結露が発生しにくく、カビやダニがつきにくいのが特徴
です。漆喰は、二酸化炭素と結合して硬化し、このときに収縮するため
ひび割れなどが発生することもありますが、自然の現象と割り切って
大きな心で受け止めたいものです。
漆喰の歴史
漆喰は、昔は土蔵や城郭、神社仏閣などの大切な建物に使われて、室内
環境を守りました。1609年に建築され、400年以上が経過した現在でも
その美しい姿が残る姫路城。重要文化材、世界遺産である姫路城は2015年
4月に大修理されましたが、城の壁は白く美しい漆喰で仕上げられています。
名前の由来は?
漆喰の名前の由来は、石灰(せっかい)を唐音読みして「しっくい」と
なりました。唐音読みとは、鎌倉時代に中国から入ってきた音読みのこと
をいいます。漢字は当て字のようで、江戸時代の頃から「漆喰塗り」と
いう言葉が使われていたようです。
漆喰自体の起源は相当古く、古墳の壁画やエジプトのピラミッドの壁
などにも用いられています。
ビニールクロスから漆喰壁へ
最近よく耳にするのは「住まいをリフォームする際に、ビニールクロス
貼りだった室内の壁をすべて漆喰の塗り壁にしたい」という声です。
日本の家づくりにおいて、室内の壁の仕上げは過去40年ほどは
ビニールクロスが全盛期でしたが、今はその不自然さや、質感に乏しい
という理由で漆喰の塗り壁を選択する人が増えています。
ビニールクロスの特徴は?
塗り壁のような凸凹をつけたビニールクロスは施工手間もかからず
値段が安く仕上げられます。しかしビニールクロスは素材に通気性が
なく、適切な換気を行わないと結露やカビの原因になる場合があります。
またシックハウス症候群に悩まされる危険性もあります。
漆喰と家づくり
若い人たちからは新築の際にこんな声も聞きます。
「壁に漆喰を塗るとき、家づくりの思い出として家族の手形を残して
おきたい」というものです。子どもの小さな手形は楽しいモニュメント
になることでしょう。
漆喰壁のある暮らしは?
漆喰の塗り壁は室内の湿度を調整してくれます。漆喰壁の家に
お住まいの方から「梅雨どきも室内はさらっとして、冬も乾燥せず
風邪を引きにくくなった」という声をよく聞きます。
マイホームを建てる際には漆喰壁に包まれた部屋で、四季の
移り変わりを楽しみながら、さわやかにくらしたいものですね。