自然素材として重宝されている、無垢の木「杉」についてお話します。
「杉」の特徴とは?
まっすぐで、緻密で、水に強い
日本人の生活に身近な「杉」
新年の祝賀式など、新たな門出を祝うとき、酒樽を木づちで威勢よくあける
「鏡開き」がよく行われますが、この「酒樽」は杉の木でできています。
お酒の味と共に杉のほのかな香りを楽しめます。お酒ばかりでなく、醤油、
味噌、漬物の樽にも昔から杉が使われてきました。樽に使われたということは
杉材がまっすぐで、緻密で、水に強いという何よりの証拠です。
弥生時代の「登呂遺跡」でも
もちろん、私たちの住まいの材料にも杉はよく使われてきました。
弥生時代の登呂遺跡(静岡県)では、ほとんどの柱が杉です。
杉は、昔から日本人の身のまわりに最もよく登場する身近な木でした。
杉は日本特産の代表的な樹種
杉は、本州北部から屋久島にかけて分布しています。日本は国土の2/3が森林で、
そのうち約40%が人工林。そして、人工林面積の44%が杉の森林です。
2013年の国産材生産量の樹種別の割合は、杉が56%で第1位。
桧が12%、カラマツが12%、広葉樹が12%で、いかに杉がたくさん
生産されているかがわかります。
国産材の有効活用
近年は日本の山林の荒廃を防ぎ自然環境を守るため、国産材を有効活用して
人工林を活性化することが強く求められています。大量に伐採の時期を迎えた
杉材を有効活用して住まいをつくることが、ベストの選択です。
建築材料としての杉
杉の辺材は淡い黄色。心材は美しい赤褐色で、心材と辺材の差が明瞭です。
両者が縞模様に現れた材を「源平」と呼びます。
杉は建築材料として、天井材・屋根材・下地材・建具材など、多くの用途に
使われます。樹齢60年以上であれば十分な強度があり、柱や梁などの
構造材にも適しています。
桧と杉の違いは?
桧と杉を比べると、桧は強度や耐久性に優れています。杉は職人にとって
加工しやすく、扱いやすい材料です。よって、土台や柱、床材としても
人気があります。桧とともに日本で最もよく用いられる建築材料です。
桧と杉では色合いや質感が異なります。桧はフォーマル、杉はカジュアル
な雰囲気を持っています。
杉は柔らかで温もりがあり、調湿性が高く、質実剛健、
素朴な味わいを楽しめる材料です。
昔から造り酒屋の軒先の「杉玉」が新しくなると「今年も新酒ができましたよ」
という印です。杉をふんだんに使った住まいで、杉の樽酒を楽しむのも
乙なものですね。