今回は「空き家の売却は買取か?仲介か?」についてお話しします。
空き家の所有者にとって空き家問題の最終出口は「売却すること」です。
空き家を無事に売却できれば問題は解決します。
そこで空き家を売却する方法としては、Aは不動産会社に「仲介」して
もらって一般の買主に売却する方法、Bは不動産会社に直接販売する
「買取」での売却方法の2つがあります。
最近は不動産会社が物件を「買取」するケースが増えてきました。
「仲介」と「買取」の違い
不動産会社がなぜ「空き家」を買い取るかというと、利用されていない土地、
建物、マンションなどを購入し、リノベーションや建設などの付加価値を
加えて再び販売を行なうという事業目的があるからです。「仲介」と「買取」
には大きな違いがあり、それぞれ特徴や強みを持っています。
「仲介」と「買取」のフロー
まず「仲介」と「買取」のフローを比較してみます。
Aは「仲介」Bは「買取」のフロー(流れ)です。
「仲介」のフローは、①売却相談・査定依頼→②査定価格の提示、
③売却依頼=「媒介契約」の締結→④広告・販売期間→⑤買受申込
⑥契約条件の調整→⑦「不動産売買契約」の締結→⑧残金決済・
引渡し=現金化となります。
一方「買取」のフローは①と②は仲介と全く同じですが 、
③契約条件の打合せの部分が仲介と異なります。そして④不動産
売買契約と⑤残金決済・引渡しは仲介の場合と全く同じです。
両者の大きく異なる点としては、「買取」の場合、売却スケジュールに
一番影響を与える「広告・販売期間」が不要という点です。
「買取」では買主が不動産会社に売却の相談を行なってから不動産売買
契約の締結、そして残金決済・引渡しに至るまでの期間が、仲介の場合
よりもはるかに短縮できることが最大の特徴です。
「仲介」と「買取」の3つの大きな違い
では次に「仲介」と「買取」の3つの大きな違いについて説明をします。
①まず買主が違います。
「仲介」は主に個人が買主ですが「買取」は不動産会社が買主となります。
②「売却までの時間」が違います。
「仲介」では買主を一から探すため売却が完了するまでに時間がかかりますが
「買取」では不動産会社が買主なので早く売却の手続が完了します。
③「売却の価格」が違います。
「仲介」では市場の相場の価格で売却できる可能性がありますが
「買取」では仲介と比べて売却価格が低くなるのが一般的です。
買取に向いているケース
では次に買取に向いているケースを説明します。
①早く売って現金化したい
②売却の時間や手間がとれない
③売却を人に知られたくない
④補修費や仲介手数料などの経費をかけたくない
⑤仲介に出したが長期間売れない不動産である
⑥築年数が古い不動産である
このような場合は仲介よりも買取をお勧めします。
買取のメリットとデメリット
では買取のメリットとデメリットを説明します。
売主にとって買取のメリットとは
①早く売却できて現金化が可能
②仲介手数料や補修工事費などの経費がかからない
③売却スケジュールが立てやすい
④瑕疵担保責任を負わなくてすむ
⑤近隣や周囲に知られる可能性が低い
⑥内覧が不要など面倒な手間が少ない
⑦現状のままで引渡しができるなど、メリットがたくさんあります。
逆に買取のデメリットはシンプルです。
買取のデメリットは
①売却価格が低くなる可能性が大きい
一般的に相場の7割から8割程度になる場合が多いようです。
②不動産によっては買取できない場合もあります。
再建築ができない土地や擁壁が老朽化している場合など、再販売が
困難と判断されると買取できないことがあります。
即時買取と保証買取
「買取」にはその方法が2種類あります。「即時買取」と「保証買取」です。
「即時買取」とは、売却活動を全く行わず、売主と不動産会社との間で
金額が折り合った時点ですぐに不動産会社に買い取ってもらう方法です。
一方、「保証買取」とは、はじめは「仲介」で売却活動を行ない、それでも
売れなかった場合に、事前に取り決めをしておいた売却価格で不動産会社
に買い取ってもらう方法です。売却スケジュールに余裕があると見込まれる
場合に採用できる方法で、仲介と買取のいいとこ取りをするものです。