今回は「不同沈下の不具合」について話をさせていただきます。
不同沈下とは
「不同沈下」とは、家全体が均等に沈下するのではなく、建物荷重に対して
地耐力が弱い場合に、建物が不揃いに沈下を起こすことを言います。
不同沈下すると建物が一方に傾くため本来は水平と垂直を保つべき床や
柱や壁が傾き、建物は大きなダメージを受けることになります。
不同沈下の段階と障害の状況
建物の不同沈下は、地盤の状態で発生することが多いのですが
症状はいくつかのステップに分けることができます。
まず初期段階の症状は、外壁や内壁に亀裂が発生します。
次に第1期として基礎や土間に亀裂が発生します。
第2期には、壁と柱の間に隙間が生じ、窓枠などにも隙間が発生してきます。
第3期になると柱が傾き、建具の開閉が不良となります。床も傾いて生活上支障が出てきます。
最終期になると、柱の傾斜が著しくなり建物の倒壊の可能性が出てきます。
不同沈下が人体に与える影響
建物の不同沈下は建物だけではなく人体にも悪影響を与えます。
人間には、本人が意識していなくても常に身体を平衡に保とうとする
機能が備わっています。しかし、不同沈下した家で生活していると
「視覚的に感じる水平」と「内耳にある三半規管が感じる水平」に
誤差が生じます。その結果、「目まい」「立ちくらみ」「頭痛」など
自律神経失調症などを起す原因となります。
不同沈下が発生しやすい地盤
不同沈下は基礎や建物が傾いて沈下することです。
その原因は地盤の支持力不足や地盤の不均一性、荷重がどちらかに偏って
発生する偏荷重そして基礎形式の違いなどによって生じます。
不同沈下が発生しやすい地盤は、
・軟弱地盤
・盛土内にガラが混入しているような地盤
・擁壁の埋め戻しが緩かった地盤
・旧水路の埋め戻しが不十分だった地盤 などです。
地盤事故と不同沈下
実は、地盤事故は私たちにとって身近に発生しています。
住宅の火災事故は5,000軒に1軒の割合で発生するのに対し、新築住宅の
「基礎のひび割れや」や「沈下」に関する不具合相談は1,000軒に8軒以上も
発生しています。地盤事故は1,000件に7件以上も発生しています。
また「欠陥住宅110番」に寄せられた苦情件数のうち不同沈下によるものと
思われる件数は全体の約55%にものぼります。不同沈下は取り返しのつかない
事故です。事前に万全を期す必要があります。